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MAGiC×LiNX×ALCHeMY。

本当は二話分一気に公開の予定だったのですが、あまりお待たせしてもなんなので、とりあえず公開です。
今回分では、アクションの必要はありません
あ、でも、感想とかは歓迎です・笑

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MAGiC×LiNX×ALCHeMY



06. 激昂

 それまで斬り結んでいたキッスと刀磨の間合いが離されたことで、戦いは次の段階に移ろうとしていた。
「くぅ…、こんなバインドなんて、翼さえ出せれば簡単に引き千切れるのに…!」
 ロベルタが戒めを外すため魔法を使おうとするが、さすがの彼女であっても、バインドされた状態での使用は叶わない。
「バインドは相手の自由を奪うための魔法なんだろ、先に解かなきゃいくらロベルタでも無理だって!」
 本来の彼女からすれば、擬似的吸血姫の状態であれば、児戯にも等しいであろうバインドでも、今の状態ではその半分も発揮することができない。上手くいかない苛立ちからか、手順を踏み間違うロベルタの援護へと、ファファの雷撃をかいくぐりつつ美輪が向かおうとする。
「らしくねえな、ロベルタはなに焦ってんだ!?」
 下級生に引っかき回されていることが気に食わないのか、それとも惑わされている己に腹を立てているのか。いずれにしてもロベルタの状況は芳しくないように思えた。
 そんな彼女を助けに行きたいのは山々であっても、それを簡単に許すほどスターズの少女たちは甘くない。
「アクセルシューターだよぅ!」
「ちいっ、てめえ…っ」
 桜子の意思に従って誘導される散弾が、美輪の動きを著しく妨げるのだ。
 ロベルタへの接近を許さないのはおそらく彼女のデバイスの入れ知恵なのだろうが、その意地の悪さには渋面を隠せない。
 それでもロベルタの元へとたどり着いたのはさすがと言うべきなのだろうが、多少被弾しながらも魔法の力を借りた脚力で強引に突破した美輪は、ロベルタの前に立ったところで少女たちにとって格好の的とばかりに狙い撃たれる。
「──Load-Cartridges.(カートリッジをロードします)」
「ファファちゃん、いくよ!」
 三発ものカートリッジを一気にロードした桜子が、ファファに合図を送りながら、再びアクセルシューターを放つ。
「うん!」
「──I see, little lady. I'm ready to set...(心得ておりますとも)」
 求めに応じたファファのデバイスもまた、カートリッジをロードする。
「あいつらが何企んでんのか知らねえが、叩き落としてやんぜ!」
 そう言えばこの二人は仲が良かったなと思いながら、美輪が魔力のシールドを己の腕に創り出し、ゆるりと迫りくる魔力弾に備える。桜子のすさまじい攻撃力は知っていたが、それでも美輪にとってはさばけないほどではない。その程度の自負はあったし、客観的にもそれは事実であった。
「オレが時間を稼ぐから、早く抜けろよ?」
 力づくでバインドを破れないとなれば、術式のほころびを見つけるしかなく、不意を打ったとは言えロベルタを易々と拘束するほどの術からほころびを探すとなれば、必要な労力は推して知るべしであろう。
 カートリッジを使っているにもかかわらず、なぜか平常よりもスピードの遅い桜子の弾丸に内心首を傾げながら、美輪が背中にかばったロベルタに声を掛ける。
 ロベルタとしても、美輪がその時間を稼いでくれるというなら、今はその言葉に甘えておきたかった。
「…分かったわ。でも、無理はしないで」
「おう、任せとけ!」
 力強く応えた美輪がかがんで地面に両手をつけば、土壁がいくつもせり上がり、桜子の魔力弾を受け止めようとそびえ立つ。
「なっ!?」
 しかし、美輪が地面を錬成して壁を創り出すことは織り込み済みだったのだろう。ばん、という乾いた音と共に、その壁は想定外のもろさを見せる。あっさりと撃ち抜かれてただの土塊と化したのだ。
「てめえまさか、あのバカみてえな魔力を全部威力に突っ込んだのかよ…!」
「くふふ、せっかくだからあたしのぱんつ見てたっていいんだよ♥」
 見上げれば確かに桜子のスカートの中は丸見えなのだが、決してそれが気にならないわけではないのだが、今の美輪には他のことに気を取られている余裕はない。
 一つ一つがそれぞれ独立してホーミングしてくる上に、それぞれが非常識な威力を持ち合わせているのだ。
「──Master, exchange magazines...Reload.(マガジンを交換してください…装填しました)」
 桜子のデバイスが発する無機質な音声に神経を逆なでされながら、さらに撃ってこようとしているだろう桜子の動きに気をつけながら、美輪が得物と盾を使って攻撃を一つずつ片付けていく。
 そのときに伝わってくる感触がいちいち強烈で、一発目の時点でしびれてしまった手の感触は、すでにない。
「くっそ、ウゼェ!」
 そんな中、桜子の放ったものの一つと思って盾で払いのけた魔力弾が、美輪が創り出していた魔法の盾を打ち砕く。
 飛び散った白銀の輝きが、その弾丸の術者が先から矢面に立っている桜子ではないことを示していた。
「さっきの合図はこれかよ…っ!」
「──That's right, my little lady is good at magic, Dispell-Magic.(その通り、お嬢の十八番ディスペルマジックですよ)」
 思わぬ形で盾を失った美輪は、今まで携帯ストラップとして持っていたレリックをボール状にして喚び出し、力一杯蹴り出しておく。
「ちいっ、二つ同時に使うのは疲れるんだが仕方ねえ!」
 美輪のコントロールに従って、桜子の弾丸はまとめて撃墜されていくが、桜子の口元は笑みの形にゆがめられている。まさにそれが彼女の狙いだと言わんばかりに。
「えーい、シュートぉ!」
 まだ残っていた魔力弾を一斉に美輪に向けつつ、桜子がさらに魔法を使う。
「──Accel-Shooter-Spread.(アクセルシューター・スプレッド)」
 放たれたのは、通常よりも弾数の増やされた、名前通りの散弾だった。先からの重い弾丸の処理で手一杯の美輪には、この追撃のすべてを受けきる余裕はない。
「アレを全部食らったら、さすがに落とされるよな…!」
 まるで他人事のように思いながら、冷たい汗が背筋を伝うのを抑えられない。
「ミワ!」
 自分のために時間を稼いでくれている少年が、そのせいで絶体絶命の窮地に陥っている。助けに行こうにも、ロベルタの拘束はまだ解けていない。絡みつく魔力の糸が、駆け寄ろうとしたロベルタの身体に深く食い込み、走った魔力的激痛に思わずうめく。
「ロベルタ、オレのことはいいからバインドをほどけ!」
 身に迫る危険を前にしながら、身体を縮めて、握った得物を胸の前に構えて、少しでも当たる確率が下がるよう努力する以外できないことに美輪は歯噛みする。
「佐倉井様!」
 そんな半ば諦めに近い状況に追い込まれた美輪の前に、相手になっていた刀磨を置き去りにしてきたのか、もう一人のチームメイトが飛び出してくる。
「キースリンか!?」
「はい! 水波能女(みずはのめ)、御招来(おまねき)奉る!」
 水の精霊を喚び出して刃に宿らせると、キッスが長い髪を乱して、一息で放てるだけの衝撃波を放った。
「──天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)、参之太刀乱舞(サンノタチ・ミダレマイ)!」
「いくらキッスちゃんでも、全部は斬れないっしょ!」
 けれども、キッスにとっては桜子の魔力弾に当たろうが当たるまいが、それは二の次だった。
 数十発もの高速な弾丸に対するには、あまりにも不利な剣撃である。
 桜子の言うとおり、キッスとてすべてを防げるとは思っていない。ただ、自分が前に立つことで、桜子の甘さが出るのではないかと考えたのだ。
「くふ、キッスちゃんなら脱がしちゃおうかな、かなっ!」
 果たして、キッスの狙いは的中する形になる。
 桜子の誘導に従った攻撃は、相殺されなかった余剰がキッスの制服をかすめるが──破かれたスカートからは下着がのぞいてもいたが──彼女自身への直撃は一発たりともなかったことから、桜子の意思が働いたことは明らかだった。。
「くふ、今日のキッスちゃんのぱんつは白のレースなんだけど! まったくもう、ずいぶんカワイイのはいてるんだけど!」
「何見てるんですか!?」
 ホック部分がほつれてずり落ちてしまいそうになるスカートを押さえて、顔を真っ赤にするキッスに、桜子が即答する。
「ぱんつだし! キッスちゃんのぱんつなんだし!」
 無駄にハイテンションの桜子を尻目に、彼女のデバイスが付け替えたはがり弾倉からカートリッジをロードして、がしゅんと音を立てた。
「とっても大事なことだから二回言ったんだし!」
「え、えっちなのはいけないと思います!」
 照れ隠しにキッスが桜子の言葉を遮ったところで、キッスの背にかばわれる形になっていた美輪のぼやきが差し込まれる。
「何気に流れ弾が当たってるオレは無視か…」
「そんなつもりはないけど、それは仕方ないかもしれないですよミワちゃん先輩?」
 可愛らしく小首を傾げて見せる桜子の足元に、可愛らしさの欠片もない大型の魔法陣が展開される。
「だって、キッスちゃんのぱんつに比べたら大したことじゃないし!」
 期待はしていなかったが、美輪が望むような答えは返ってこない。
「ああもう、誰だよこいつ連れてきたのは!」
 美輪自身にもうなずけるところがあったのはさておいて、桜子が展開した横暴な論理にはこめかみを押さえるより他ない。
「佐倉井様、今はお下がりください!」
「お、おう…?」
 目の前に大きく広げられている魔法陣は、伝わってくる雰囲気と桜子の性格を考えれば、ほぼ間違いなく攻撃性のものであろう。
「何をしようとしているのか存じませんが…、参之太刀です!」
「にゃんと、さっきからそればっかりなんだし!?」
 詠唱中の桜子を捉えようとほとばしったキッスの水の刃は、キッスにようやく追いついた刀磨によって迎え撃たれる。
「させないよ、──流れ葉!」
 大きな跳躍から着地した刀磨が剣を払うと、巻き起こった風が土埃を巻き上がる。
「ていうか桜子ちゃんってば、僕がいること絶対忘れてたよね!?」
 ことごとくをあらぬ方向へと逸らされたキッスの斬撃は、水のしぶきを残して暑い空気を少しだけ冷ました。
「そ、そんなことはないんだよ? それより、遅いよ! 遅いんだよ竜崎くん!」
「ごめんごめん、情けない話、ちょっとやられちゃってたからさ」
 慌てて取り繕った桜子の言葉は半分程度に聞いておくことにした刀磨の上着はずたずたに斬り裂かれていたし、ハーフパンツから覗く膝には泥に汚れた擦り傷が見える。刀磨の言うところの多少がどの程度かはあとで問い詰めることにして、桜子が鼻を鳴らした。
「もう、だらしないなあ、しっかりしようよ!」
 桜子が怒気は形だけと知っている気安さもあり、刀磨が頬の辺りを掻いて苦笑した。
「…貴女たちね、いい加減になさいな」
 顔見知りであるが故の和やかな空気が漂い始めた頃、それを嫌う声が上げられる。
 模擬戦と言うより、むしろ口論から発展した喧嘩の様相を呈してきていた様子に、ファファから受けていた戒めを打ち破ったロベルタが烈火のごとき怒りを見せる。声音の凄味に、キッスがびくりと身を震わせた。
「こんな馴れ合いは願い下げだわ。距離を取って仕切り直しよ!」
 一対の漆黒の翼がロベルタの背に生み出され、ばさりと広げられる。


-つづく-


07:10 | 華が丘 | comments(1) | trackbacks(0)
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    コメント
    ロベルタ、ぎゃおー☆たべちゃうぞー状態に(;゚ロ゚)
    2009/10/06 9:43 PM by ぶち

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